1. オープニング/アジェンダ

【Resilyの事業内容】 ・OKRをベースとしたクラウドサービスの開発・販売 ・OKR導入支援コンサルティングサービス 【Resilyのミッション】 ・みんなが挑戦に躍動する世界 ・未来をつくるためのチームの会話をスタートさせる 【Resilyの魅力】 ・深く広い課題：「組織・チーム」の流動的・抽象的な課題の解決 ・最高のお客様：事業成長への強い意識。経営層のコミット ・ユーザーに近い：組織の全メンバーがユーザー。自分たちもユーザー 【登壇者の紹介】 ・Tably株式会社　代表取締役　及川　卓也氏 　-外資系IT企業3社とスタートアップ勤務を経て、2017年6月に独立。 　-2019年1月、企業や社会の変革を支援するTably株式会社を設立。 ・Resily株式会社　取締役CTO　西方　聖一氏 　-Resilyに参画。副業エンジニアとして複数のサービス立ち上げに貢献してきた。 ・Resily株式会社　取締役COO　西川　哲郎氏 　-海外子会社管理・金融事業に従事した後、外資系商社に転職。 　-その後Resily株式会社に取締役として参画。

2.OKR基本解説

【目標管理の歴史】 ・高まる不確実性に対処できるよう目標管理は進化している ・1979年にアンディ・グローブがOKR（iMBO）を立ち上げた ・1999年にグーグル社がOKRを採用して急成長した ・最近になってコロナ禍でリモートワークとなったが、それ以前に不確実性に対処できる目標管理手法を考えた時に、OKRが着目されていた 【グローバルに普及するOKR】 ・日本ではスタートアップを中心に導入が加速している

3.OKR(Objective&KeyResults(KR))とは

・OKRは「戦略」と「実行」をつなぐ羅針盤 ・Objective「目標」 　-意義・ゴールを示す定性的な目標、鼓舞するような野心的・ワクワクする文言、四半期での達成を推奨 ・KR「主要な結果」 　-Objective達成を測る定量的・客観的な成果、タスクではない、数を絞る（3-5個を推奨）、コミットメント（必達）orストレッチ ・OKRは可視化され連鎖する 【CFR-継続的パフォーマンス管理】 ・CFRはOKRと双子の概念、CFR無きOKRは形骸化している ・対話(Conversion) 　-パフォーマンス向上を目的に、マネージャーとメンバーの間で行われる真摯で深見のある意見交換 ・フィードバック(Feedback) 　-プロセスを評価し未来の改善に繋げるための、同僚との双方向あるいはネットワーク型のコミュニケーション ・称賛(Recognition) 　-大小さまざまな貢献に対して、しかるべき個人を称賛し感謝を伝えること

4.OKRとプロダクト開発【Tably株式会社 及川卓也氏】

【OKRはエンパワーメントの手段である】 ・機能開発チームを採用しているのであれば、OKRは文化的なミスマッチであり、ほとんどの場合は時間と労力の無駄に終わる 【OKRを活用するには】 ・①機能開発チームのモデルから、エンパワーされたプロダクトチームのモデルに移行する ・②マネジャーが課す目標と個人が設定する目標を廃止して、チームの目標に集中する ・③リーダーが自ら役割を果たして、プロダクト戦略を行動に変える 【プロダクトチームのOKR】 ・機能別部署の目標とプロダクトチームのOKRの板挟みになる問題に対してどのように対処すれば良いか？ 　-OKRを企業に導入する場合、OKRをプロダクトチームのレベルにフォーカスする。 　-従業員の関心をプロダクトチームの目標に向ける。 【私とOKR】 ・ブラウザをゼロから見直す 　-2008年のChromeのOKR。Objective：ウェブアプリケーションのための次世代クライアント・プラットフォームを開発する 　-Key Result：Chromeの7日間のアクティブユーザー数を2,000万人にする

5.パネルディスカッション【Tably株式会社 及川卓也氏/Resily株式会社 CTO 西方 聖一】

【エンジニアに対する評価はなにを指標にする？OKRとの兼ね合いは？】 ・一般的な話をすると、人事評価とOKRは完全に非依存な形にして、OKRを使わない所が鉄則になる。 ・OKRをチームのメンバーがOKRに沿った仕事をしているのに、人事評価でOKRを見ないというのは不自然である。 ・定性的な中身を見てその人がプロダクトに対して貢献したかというのを見るべきである。 ・OKRのスコアやグレードをそのまま人事評価に使ってはいけない。 ・事業の目標に対して意義をどれだけ伝えられるかというのが重要になってくる。 ・その意義に対してどれだけのパフォーマンスが出せたかが重要なポイントになる。

6.パネルディスカッション：目標の立て方

【プロダクト開発組織の優れた目標（OKR）の立て方とは？】 ・ロードマップをしっかり立てて緊急度が低いもので優先度が高いものをどこかのタイミングでしっかり入れる。 ・技術的な負債もエンジニアからの提案や問題定義に対しても取り組みが必要と考えられることが多い ・プロダクトに対して「結果どう貢献できるか」を考えた上で、技術的負債やエンジニアから主導で出てくるものをうまく取り入れられるようにする ・組織上課題感を抱いているものは、技術的な課題に対する事業のマイナスのインパクトの大きさと、それをマネージャーや経営陣に伝達できるかどうかが重要になってくる ・経営陣ないしマネージャーに対して技術的な負債、もしくは事業にとってマイナスになるものを伝えられるメッセンジャーまたは代弁者が組織に必要

7.パネルディスカッション：エンジニアリング組織について

【エンジニアリング組織でOKRを定着させるポイントは？】 ・スクラムのセレモニーに対してOKRを意識させることが、スクラムをやっている上では一番重要である ・具体的にどうやってスクラムとOKRを接合させるかは、基本的にはプロダクトバックログリファインメントの中では必ずOKRを確認すること ・スクラムセレモニーとどう混ぜ込むかは、プランニングとレトロスペクティブと同様にOKRを意識した方がいい 【これからのエンジニアリング組織にOKRは必要か。】 ・エンジニアリング組織にはOKRは必要であると考えている。 　-OKRを作って、従業員に発信することで会社の戦略を伝えるコミュニケーションツールになると思っているため。

8.質疑応答 ：Tably株式会社 代表取締役 及川卓也氏

【評価方法とChromeの事例】 ・機能開発チームの場合には、OKRが適していないとのことですが、その場合にはどのような評価手法が考えられるのでしょうか？評価手法改善案を提案したく思っています。 　-機能開発チームという状況になってしまっていること自体が問題である。誰かが考えてくれたものをひらすら作るという役割分担をしないということを考えられるようになった方がいいと思う。 　-機能開発チームではなくプロダクトチームにした上で評価・目標設定は何にするべきかを考えられるようになるべきである。 ・Chromeの事例、MBOであったらどういう失敗になるのでしょうか？ 　-MBOは上位脚立トップダウンがあり、組織・上司が決めたものの論理で決まっていく 　-OKRの特長としてはトップからある程度のディレクションを決めるという点がトップダウンの形になっている 　-ディレクションの上で自分達が何をすればいいかKRを達成できるかを考えていくとエンパワーされた状態になっている。 　-MBOだったら緻密に設計された上でChromeはプロジェクト化されたタスクをひたすらこなすだけになる

9.質疑応答：エンジニア組織の生産目標とOKRの良例

【質疑応答】 ・エンジニア組織の生産性目標としてリリース数やデプロイ数を掲げることに対してどの様にお考えでしょうか？実際にデプロイ数の多い組織は業績も良いという話しも聞いたことがあります。 　-一般的な話としてリリース数やデプロイ数を掲げることはいいことである。何かを作るということがゴールになりがちで問題だと思う。 　-リリース数やデプロイ数は何のためにあるかを考えた時に、常にある速度を持って開発し続けることで組織のヘルスティックになると思う。 　-正しくプロダクトが進化しているかどうかを、ヘルスチェック的に常にモニターしていくべきである。 ・上位のOKRが未定の状態で下位のOKRを良い内容にするためのお勧めの方法はありますか？ 　-最上位のOKRが未定というのはあり得ないことで、中間のOKRが途中だったり未定であっても、上のOKRが決まっていれば自分達が何を貢献できるかを考えスタートできる 　-中間のOKRが決まった段階で整合性が合わなければ合わせる ・エンジニアのOKRを設定する場合にKRの定量化が難しいと感じます。エンジニアを対象としてKRの良例をご紹介頂けますでしょうか？ 　-KRのプランニングは難しいので、スコアリング時のガイドラインを予め自分達で考えておくと四半期の期末の時に困ることがなくなる。

10. 居残りパネルディスカッション【Resily株式会社 CTO 西方 聖一】

【1on1の目的】 ・1on1の目的は上下左右のOKRとの整合性を保つための調整とコミュニケーションなのでしょうか？現場でも1on1を実施しているのですがそのように機能しておらず雑談の場になっています。 　-1on1のテーマ設定は会社によってかなり違うのが現実。雑談でコミュニケーションの関係性の質や人間関係にフォーカスしている会社もあれば、キャリア開発もアジェンダにいれてしまう会社もある 　-1on1のデザイン選択肢は多いので、どれを優先度を上げるか、それぞれのアジェンダに対してどう目的設定しているかを明確にしていく 　-お互いが対等にOKRを推進するための困り事を回収するのが、OKR的には1on1でやっていることである ・スクラムイベントという文脈でレトロスペクティブやスプリントレビューなどを行っている状況なのですが、ウィンセッションはどのように行うのが効果的でしょうか？ 　-OKRの成熟度は意識した方がいい。最初はOKRに対して自分はこういう成果を上げたから皆で称賛するという雰囲気をだす 　-その成果がOKRにどれだけ貢献したかを意識づけるのが次のステップであり、高い壁である 　-OKRの達成の為の成果であるという意味付けを自分自身でし、周りの人も意義付けを確認することで、事業がOKRにそって推進できているかを確認できる

質疑応答：Resily株式会社 CTO 西方 聖一氏

【OKRについての質疑応答】 ・週明けにチェックインが憂鬱にならず、楽しくウィンセッションできるコツ 　-言いやすい雰囲気をマネジメント側から作ってあげる。憂鬱になっている人をフォローしてあげる。チェックインする時に自信度を上げる。場づくりが大切。 ・技術力の評価はどのように行えばいいでしょうか？ 　-直接的な技術力の評価はしない。どれだけ事業貢献ができるかの観点で技術力をみている。その観点での技術力は引き出しの多さだと思っている ・OKRの個数に目安はありますか？ 　-オブジェクティブ1つに対してKRは3つから5つと言われている。 ・waterfall開発においてはやることが決まってしまっており、OKRが立てにくいがいい方法はないか？いいOKRの作り方のコツや持っておくべき覚悟はありますか？ 　-プロダクト戦略がOKRとリンクしているかがいいOKRを作る大前提となる。下のOKRに会社戦略とプロダクト戦略をしっかり話す機会を持つべきである ・OKRが形骸化しているかもしれないサインなどはありますか？ 　-OKRが判断軸として使われていないなどがサインの1つとなる 　-OKRを定着させる一番のポイントは組織のトップ層がOKRについて触れて回る ・ResilyのObjectiveとKRは担当設定しますが、チームがOKRの責任者であるべきだと思う。Resilyの中の担当者は一番下のレベルだと誰に設定しますか？ 　-チームの方がOKRの責任者になることは問題ないが、OKRの下のプロジェクトやタスクアクションはある程度の責任を命じないと、責任や役割の不明瞭さが出る