登壇者自己紹介/OKRコーチとしての役割について

【登壇者自己紹介】 ・Melanie Wessels氏 ・OKR forum 2020代表 ・元Booking.comアジャイルコーチ 　-同社のOKRの導入と浸透をリードした 【OKRコーチとしての役割】 ・OKRは測定可能な指標を使い目標設定をする ・OKR体験談 　-2週間でBooking.comでOKRを導入するのに必要な体制を整えた 　-OKR専門家であるベン・ラモルテ氏と話し、個人的な目標にOKRを設定することがOKR　自体に興味を持つ良いきっかけになることを知った 　-私生活でどのように応用できるかを考えると、より一層OKRに興味を持てるということ　を伝えたい ・アジャイルコーチを生業とし、OKRの専門家でもある ・副業として自己啓発のコーチング ・世界各地でOKRのカンファレンスも実施

OKRの基本

【OKRとは何か】 ・Objectives（達成目標）+Key Results（主要な成果）で構成されている ・Objectivesは定性的な内容で測定可能な要素は含まない 　-人にインスピレーションを与える野心的な目標（例1：より健康的になる） ・Key ResultsはObjectivesを構成する測定可能な要素 　-Objectivesの進捗状況を確認するための手段（例1：体脂肪率をある数値まで下げる） 　-必ず数値を入れて、進捗を把握できるようにする

Key Resultsの概念/サンプル

【Key Resultsの概念】 ・難易度の高い目標（KR1.0）、努力により手の届く目標（KR0.7）、今まで通りの努力で達成できる目標（KR0.3）のようにレベル分けすると効果的 ・このステップを実際に書き留めておくことで、期中に現在の立ち位置を確認できる 【サンプル】 ・Objectivesが「より健康的になる」の場合 　-KR1.0は体脂肪率を28％まで下げる、KR0.7は30％まで、KR0.3は34％まで ・Objectivesが「会社を持続可能で環境に優しいものにする」の場合 　-KR1.0はグリーンエネルギーを80％使う、KR0.7は50％、KR0.3は20％

ビジネスシーンでOKRを使う3つの理由

【注力すべき事項と優先順位が明らかになる】 ・OKRを設定すれば、自分や自社の目指す方向が明確になる ・やり遂げたい項目を一覧化することで、優先順位がつけやすい 【OKRがインターフェイスとして多くの可能性を提供してくれる】 ・OKRが意欲的な目標であり、難易度の高い結果を目指す ・ストレッチされた目標を持つことこそがイノベーションへの第一歩 ・いつも通りの仕事では達成できないからこそ既成概念にとらわれない発想につながる 【社内の足並みを揃える】 ・複数のチームが同じ問題に異なる解決策をもってアプローチすると、重複が多く、お金を無駄遣いすることになる ・特に大企業は要注意

OKRの流れ

【OKRの流れ】 ・OKR導入は会社のトップから始まり、チームレベルに降りていくのが効果的 ・チームレベルから導入し、会社全体の取り組みとするボトムアップも可能だが、長期的な成功率が高くない可能性がある ・会社に明確なミッション、ビジョン、バリューがあれば、リーダーシップチームがOKRを設定し、それに基づいて各部門、各チームもOKRを設定することができる ・一つ上のレイヤーのOKRを踏まえて、自分たちのOKRを設定するというトリクルダウン効果が見込める 【OKRの最大のメリット】 ・会社の全レイヤーがOKRを設定することで、それぞれの下のレイヤーのOKRに影響を与えるという効果がある ・会社全体が共通の糸で繋がっていることで、会社の方向性、自分自身の立ち位置が明確になる ・現在、多くの会社では、仕事の目的を重要視するミレニアル世代が中心となって仕事をしている ・自分が担当している業務や自身の目標が、会社や部門の目標とどのように繋がっているのかを示してくれる ・みんなが共通のビジョンや目標に向かって働いていることを知っていることで、会社や一緒に働く人々に対してより多くの魅力を感じることができる

OKRとKPIの区別について

【OKRとKPIの関係性】 ・OKRはObjectives（達成すべき目標）とKey Results（目標達成のための主要な成果） ・KPIは重要業績評価指標 ・KPIはKey Resultsに組み込まれているという意味において、OKRの一部を構成しているといえる ・KPIは測定可能な要素であるが、常にOKRの一部であるとは限らない ・KPIがうまく働いていない場合にOKRに組み込まれる事が多い

良いOKR、好ましくないOKRの例

【好ましくない例1】 ・Objectives：お客様のクレームを減らすこと ・Key Results：全てのお客様にプチギフトを送る（KR1.0）クレームがあったお客様に三日以内に電話する（KR0.7）代理店用に新しいメールのテンプレートを作成する（KR0.3） ・Key Resultsに測定可能な項目が含まれておらず、段階別になっていない為好ましくない ・ランダムなタスクで、このKRを達成してもクレームが減るとは限らない（タスク型KR） ・Key Resultsにはタスクを含ませず、常にResults（成果）にフォーカス！ 【好ましくない例2】 ・Objectives：技術部門のために新しいデータベースを立ち上げる ・Key Results：データベース稼働（KR1.0）ドラフトバージョン完成（KR0.3） ・このObjectivesで何を達成したいのかを考える➡真のResultsはデータベースが稼働していることではなく、「X人の人々がデータベースを使用する」ことだった ・この場合、望ましいKey Resultsは、登録ユーザー数や利用ユーザー数 【良い例】 ・Objectives：お客様の幸福度を高める ・Key Results：NPS（顧客ロイヤルティを測る指標）を6から8.5に引き上げる（KR1.0）、7に引き上げる（KR0.7）、6.5に引き上げる（KR0.3） 【OKRの設定において注意すべき点】 ・社内の専門用語や略語、一般的に使われないビジネス用語などの使用は避けた方が良い ・タスクはOKRを成功させるためにやるべきことなので、OKRとは別で一覧を作る

OKRのインサイト

【OKRに取りかかる際に意識すべきこと】 ・1つのOKRに対するKey Resultsは1～2種類にとどめよう ・チームに属している場合、OKR自体も1つか2つが適切➡OKRが少ないほど集中してできることが増える ・OKRに取り掛かる時は完璧主義にならにようにしよう ・まずは試してみて徐々にうまくなっていくという方法で始めるのが良い ・楽しく取り組める方法を探そう ・一貫していることが重要 ・計画を立て、進捗チェックを励行しチーム全員が自分の状況を確認できるようにしよう

OKRの落とし穴

【OKR導入の際に注意すべきこと】 ・大変なプロセスを要することを理解しておく ・いきなり大変なプロセスを全面導入する必要はなく、ゆっくり取り組めば良い ・全てのチームが簡単にアクセスできる場所に公開しておく ・OKR間の依存関係を理解しておく ・各チーム間で取り組んでいる内容を一緒に確認することも必要 ・失敗がつきものであることを共通理解とする必要がある ・Key Resultsの達成状況に執着しすぎない

2つのケーススタディ

【旅行業界】 ・優先事項が多く、毎週のように新しいチームが作られているプレッシャーの高い職場環境 ・第一段階：最初にリーダーシップチームと部門長に対するOKRのトレーニングし、次に社内の多くの人をOKRエバンジェリストやOKRアンバサダーとして訓練 ・第二段階：各部門やチームがOKRを使い始め、コツをつかみ、会社全体でどのように足並みを揃えるかが分かるようになり、進捗をチェックするOKR運用イベントが社内に浸透 ・OKRの概念の導入に1年ほどかかったが、社員が自分の業務に集中できるようになった ・最大の学びは、リーダーシップチームがロールモデルとなる必要があるということ ・多くのチームがKey Resultsを設定するのに必要なデータを十分持っていなかったので、成果の測定方法や進捗状況の確認方法に関連する作業が多かった 【輸送業界】 ・急成長により変化が激しく、課題が整理されておらず、リーダーのビジョンも不明瞭 ・第一段階：リーダーシップチームのトレーニングと、会社レベルでのビジョン、ミッション、バリューを設定。次にリーダーシップチームと週次で打合せを行い、OKRの進捗状況をチェック。OKRについての学びを共有し同社でどのように導入をすすめるか相談 ・第二段階：同じプロセスを繰り返しリーダーシップチームのレベルアップを図った ・第三段階：社内でOKRエバンジェリストやアンバサダーを育てる教育をスタート ・最大の収穫はリーダーシップチームのエンゲージメントが高まったこと

困ったときに思い出して！OKRお助けメモ

【OKRケーキ】 ・正しいOKRを構築するにはどうすればよいかをケーキに例える ・まずはOKRの材料を集める（ケーキの材料を準備） 　-戦略的なインプットを集める 　-カギとなる優先事項 　-すでに持っているデータポイント 　-同じ目標に向かっているチームが他にあるかを確認する ・材料が揃ったら実際にOKRを作成（ケーキを焼く） ・定期的にミーティングを開催し、他のチームと同期することを通じてOKRについてのフィードバックを得る（みんなでケーキを楽しむ） ・定期ミーティング自体をOKRツールに入れるなどして、定期的にOKRをチェックすることがもっとも重要である